2015/12/11

『ガールズ&パンツァー劇場版』における西住みほの成長はこの2カットに詰まっている

『ガールズ&パンツァー劇場版』の極上爆音上映を観てきました。
劇場版を観るのは3度目ですが、極上爆音上映を観るのは初めてです。
そこで気付いたことを記述します。



序盤のドンパチから中盤のヒューマンドラマまではすっ飛ばします。
今回気付いたのは終盤のさらに終盤、クライマックスシーンの2カットです。
表題にもある2カットとは、主人公の西住みほと姉である西住まほがアイコンタクトをとる2カットです。

その時の私は「このシーンはⅣ号の同乗者とは言葉を交わすのに姉とはアイコンタクトだけで意思疎通するのがいいんだよなー」などと思いながら
(極上爆音上映にありながら)映像に集中していました。
そこで気付きました。

西住みほが決意に満ちた表情をしているのに対し西住まほは少し眉を寄せて躊躇したような、
或いは慄いたような表情をしているのです。
これは重要だと思います。


ここでTVシリーズのおさらいをします。

仲間を助けるために戦車を止めた西住みほの行動が敗因となって、
西住みほのいた黒森峰女学園は敗戦してしまいます。
その敗戦が原因となって黒森峰女学園に居づらくなった西住みほは
大洗女学園に転校しました。

居づらくなったのは単に敗因となったからだけではなく
自身の取った行動が(仲間を助けるためとはいえ)「前進あるのみ」という
西住流の流儀に反する行動であったからでもあるかと思います。

大洗女学園に転校した西住みほは、なんやかんやありつつも必修選択科目として戦車道を選択し、
なんやかんやありつつも『第63回 戦車道 全国高校生大会』で決勝戦に進みます。
決勝戦の相手はもちろん転校前の学校、黒森峰女学園です。

黒森峰女学園には主人公西住みほの姉である西住まほがいます。

西住流の家元である母、西住しほが「撃てば必中、護りは堅く、進む姿は乱れなし、鉄の掟、鋼の心、それが西住流」と
西住みほを悪しざまに言うのに対し西住まほは妹を少し庇いつつも「私はお母様と一緒で西住流そのものです」と言います。
つまり西住まほは(西住みほに比べて)西住流を体現しているといってもいい存在でもあります。

決勝戦にてなんやかんやあって西住みほ率いる大洗女学園は
西住まほ率いる黒森峰女学園に勝ちました。
試合後の姉妹の会話で西住まほは妹を称えつつも「みほらしい戦いだったな。西住流とはまるで違うが」と言います。
それに対して西住みほは「やっと見つけたよ。私の戦車道」と言います。

西住みほは、西住みほの(西住流とは違う)戦車道で西住まほ(つまり西住流そのもの)の戦車道に勝ちました。
ここまでがTVシリーズです。


話を劇場版に戻します。

大学生選抜チームと戦う大洗女学園はなんやかんやあって残り車輌数2対1にもちこみます。
大洗女学園は西住みほと西住まほの2輌、大学生選抜は島田愛里寿の1輌となります。

ここからのクライマックスシーンにおけるアイコンタクトの2カット、
西住みほが姉を見て西住まほが妹を見る。この2カットに全てが集約されています。

ここで西住みほが(おそらくアイコンタクトだけで)提案した戦法は
「西住まほの戦車が西住みほの戦車を後方から撃ち、その勢いを利用して距離を詰めながら相手車両を撃って撃破する」
というものです。
この戦法を先述のように西住みほは決意を持って提案し、西住まほは慄きを見せながら受け入れるのです。

結果、西住みほの戦車は白旗を上げつつも相手戦車にも白旗を上げさせ、チームとして勝利しました。


西住みほは鋼の心を持って(決意の表情で)、
護りを堅くし(学校や姉の戦車を護り)、
乱れなく進み(自身が行動不能になることも厭わず)、
撃てば必中(相手を撃破)する。
それを提案し、完遂したのです。
これぞ「西住流そのもの」です。

それに対し、姉であり自らを「西住流そのもの」と言った西住まほは
「西住流そのもの」の提案を動揺や慄きを持って迎えました。

仲間を護るために転校の原因となった行動や黒森峰女学園に勝った決勝戦での行動(いわゆる八艘飛び)は
「西住みほの戦車道」でもあります。
仲間を護るというそれらの行動を踏まえつつ、自身の危険を顧みず相手を撃破するという
ここでの戦法は「西住みほの戦車道」でもあり「西住流そのものの戦車道」でもある。
それを西住まほが動揺や慄きを持って迎えた。

この姉妹の表情の対比を見せる2カットに西住みほの成長が全て詰め込まれ、
さらには『西住みほの戦車道』が『西住流そのもの』でありながら『西住流を超えた』のではないかと思います。


余談ではありますが知波単学園の西隊長に対して「色んなモノを学びました……精神?とか……?」と言ったのは社交辞令ではなく、
もしかしたら「鋼の心」や「進む姿は乱れなし」に通じていたのではないかとも思います。



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